薄毛の原因はさまざまですが、これまでは白髪や顔のシワなどと同じく、自然な加齢現象とされてきました。しかし、医療技術の進歩は、植毛を可能とし、AGA(男性型脱毛症)へのフィナステリドやミノキシジルの処方など、医学会が許諾している治療も出てきました。
2006年に、ヨーロッパで成長因子を用いたメソ注入が発表され、骨髄や脂肪の幹細胞を利用した薄毛治療が注目されるようになりました。同年、海外の医学会において「幹細胞培養中の上澄み液を凍結乾燥すると、多くのサイトカインが抽出できる」ということが報告され、サイトカインが既に欧米やアジア諸国でスキンケアや薄毛改善に使用されていた事が判明しました。サイトカイン療法は、患者自身から組織を採取したり、副作用が懸念される薬剤や効果が期待できない製剤などを使用した場合と比較し、効果的であり理論に適った治療法です。
そして、日本国内での研究と検証が始まりました。成分分析の結果、発毛のために十分な濃度のサイトカインが含まれている事が判明し、臨床実験では驚くべき発毛効果を見ることができました。
このような経緯で、2008年1月に「日本医療毛髪再生研究会(Japan Hair Re-Generative Medical Association)」は発足しました。サイトカインを使用した最新の医療毛髪再生治療は、研究会の英語名「Hair Re-Generative」の頭文字を取り、HARG®(ハーグ)療法と名付けられ、現在では登録施設数170件を越え、代表的な薄毛治療法のひとつになっています。